先日、とあるお客様から面白い話を聞いた。
「女の子は皆、どのようなお客さんにも同じ態度で接客するべきである」という話だった。
お客さんは同じお金を払っているのだから、女の子は自分の好き嫌いに関係なく接するべきだ。女の子の中には、露骨に態度を変える子もいて気分が良くない。自分の席ではつまらなそうにしているのに、他の席では楽しそうにしているのを見てしまうと信用できなくなる、とのことだった。
完璧なキャバ嬢は態度を変えることなく、お客さんはお客さんとして接することができるのだろうが、それができれば楽ではない。
前回にも書いたように「商品」である女の子は「人間」なのだから、生理的に受け付けない人や、気が乗らない日…など、様々な理由からお客様を区別してしまうのだ。
大抵の女の子は、口に出さないだけでお客さんを区別している子がほとんどであろう。
お客様からすると随分とひどい話だ。
気に入った女の子がいて指名をしても、もしかすると嫌われているのかもしれない。
そんなことを考えながら飲むお酒はきっと不味いに違いない。
指名をしている女の子の笑顔を見ても、悶々としたモノは晴れないだろう。
そこから、指名の女の子だけではなくキャバ嬢そのものへ不信感を覚え、キャバ嬢自体を信用しなくなる。
めんどうなお客さんの完成だ。
彼らには、一体、私達に何を求めているんだ!と叫びたくなるときがある。
では逆に、女の子達はお客さんにナニを求めているのか。
――極論を言うと、キャバ嬢はお金を、お客さんは愛や癒しを求めている。
つまり双方は相容れぬ関係なのだ。
もちろん中には互いの利害が一致して上手くバランスの取れるペアもあるだろう。
真の友となって、そこから恋が始まるかもしれない。様々なパターンが予測される。
しかし、そんなことを考えていても仕方のないことだ。言い出せばキリがないのだから。
お客さんは楽しく飲めること、女の子はお客さんを楽しませつつ自分も楽しむことが第一。
気負う必要はない。
必要はないけど、働いていくうちにそうなってしまう子がいる。
身を削ってお金を稼ぐのか、お給料を削って働きやすさを求めるのか。
働く上で何を代価とするのか。
こういうとき、何も考えずに仕事として徹することのできる図太い神経の持ち主が羨ましいものである。
そんな女の子はキャバ嬢としても上のランクにいるのだろうが。