4月から続いた非常事態宣言がようやく全国的に解除され、外出自粛の緩和や飲食店の営業時間延長など、新たな局面を迎えています。それぞれの業界が新しい生活様式での営業を模索しているなか、キャバクラ業界はこれからどのように対応してけば良いのでしょうか。
5月25日夜に発表された首都圏の1都3県と北海道の非常事態宣言の解除によって、4月7日からおよそ1か月半続いた日本全国の非常事態宣言が解除されましたね。
あらゆる人びとの生活に大きな影響を与えた1か月半でした。非常事態宣言の解除と聞くと、「これでやっと普通の生活に戻れる」と言いたいところなのですが、残念なことにすぐ元の生活に戻れるわけではないようです。
なぜなら、新規感染者数が減少してきたとはいえ、依然としてコロナウイルス感染のリスクが残っていることに変わりはないためです。
いきなり警戒を解いてしまうのではなく、感染予防の対策を継続することで安全を見極めながら、ゆっくりと元の生活に戻していく必要性があるわけですね。それが、自粛や施設の使用制限の段階的な緩和だったのです。
非常事態宣言の解除に伴い、政府は約3週間ごとに感染の拡大状況を確認しながら、営業時間の延長・施設の再開・イベント開催・深夜営業の再開など休業要請の緩和を業種ごとにはかっていく方針を打ち出しました。
そして企業や店舗も、それぞれ所属する業界団体が作成した感染拡大防止に向けたガイドラインを実践することで、営業を再開していく動きになっています。
神奈川県は、業種による差をなくし一斉に休業要請の緩和を行いましたが、他都道府県は政府の方針に沿う形でおおむね2~4段階で業種ごとに休業要請の緩和を構想しているところが多かったようですね。
残念なことにクラスターが多く発生したという経緯から、密室性の高いキャバクラのような接待型飲食店・ライブハウス・漫画喫茶などの業種は最終段階以降の休業要請緩和に設定した自治体が多く、「緊急事態宣言が解除されたから、すぐにキャバクラが再開できる」とはいかなかったようです。報道でも業態を名指しされてしまう事が増えてしまいました。
ただし、業界団体である社団法人日本水商売協会から、キャバクラ営業再開に向けて政府や自治体に働きかけも行われていますので、キャストの皆さんも、いつお店が再開されても良いようにコロナ拡大防止に取り組む『コロナ対策ガイドライン』の内容を確認してみてはいかがでしょう。
タクシー業界の「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」や、ブライダル業界の「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」など多くの業種が営業再開に向け、それぞれの管轄省庁と連携して、コロナウイルスへの対策をしながら営業を行うガイドラインを作成しています。
厚生労働省も「施設の使用制限緩和や休業要請の緩和において、業種ごとに作られる感染拡大防止のガイドラインを踏まえて営業等の再開を検討する」としていますので、営業を再開するにあたって、ガイドラインがきちんと存在するということはとても大事なポイントなのです。
コロナ影響下の自粛要請中に各業界では関係省庁からガイドラインを作成するよう要請がありました。
しかしながらキャバクラを筆頭に接待飲食業は要請がないままだったので、社団法人日本水商売協会は感染症専門の医学博士・奥村徹氏の監修のもとに、営業再開への足掛かりとなるように独自のガイドラインを作成しました。
https://mizusyobai.jp/guideline_covid19/
このガイドラインには、コロナ予防で重要視されている『3密』の回避や、マスク着用・ソーシャルディススタンスの確保・消毒などがしっかり盛り込まれていて、お客様だけではなくキャスト・スタッフの誰も感染しないための対策が最優先されています。
また、入店時の体温測定・体調管理チェックシート・マスク着用などお客様にも行ってもらうことや、テーブル・マイク・ドアノブの消毒などスタッフ・キャストだけが行うこと、カラオケの際に座る位置などがわかりやすく書かれてありますよ。
首都圏のお店だけじゃなく、地方のキャバクラのお店でも共通して運用できる内容になっているのもよいですね。
一般社団法人日本水商売協会のホームページで内容を紹介してありますので、確認しておきましょうね。まずは自分の身を守ること、それがお客様やお店、ナイトワーク業界を守ることに繋がります。
一般社団法人日本水商売協会を今回のコロナ関連のニュースで知った人も多いのではないでしょうか。日本水商売協会は2018年に設立された新しい一般社団法人です。
銀座の高級クラブ『ル・ジャルダン』の元ナンバーワンであり起業家の甲賀香織氏が代表を務め、水商売というネガティブなイメージを払拭するために敢えて、協会名もそのまま「日本水商売協会」にしているとのことです。協会の理念は以下の2つ。
協会理念のもとに、水商売で働く人の営業サポートやスキルアップの手助け、セカンドキャリアの応援や法律相談もしてくれているようですし、店舗に対しては料金の明朗化や優良店にスポットを当てるなどして水商売業界の全体の底上げと活性化をはかるなど、コンサルティング活動を行っているようですね。
水商売に真摯に向き合う、プロフェッショナルな姿勢が伝わってきて、なんだか好感が持てますね。
一般社団法人日本水商売協会のホームページを確認してみたところ、入店の際にお客様とスタッフ・キャストが記入する体調管理チェックシートに『虚偽の申告が発覚した場合については、損害賠償の請求をさせて頂く場合があります』との記載があります。
また、スタッフ・キャスト向けにも『入店時、体調確認シートへのサイン、虚偽申告にはペナルティ』とありますが、実際どのようなペナルティが課せられるのかについては明確な記載はないようです。
ガイドラインのすべての項目において法的な拘束力があるというわけではないですが、仕事や感染して命を失ってしまう、他者に移してしまう可能性を考えれば、罰則を恐れてではなくてもガイドラインを守る方が賢明ですよね。
非常事態宣言が解除されてしばらく経ちましたが、未だ感染者はなくならず、第二波にも注意しなければなりません。
まだ元の生活にすぐ戻れるわけではありませんが、キャバクラの世界でも新しい生活様式を取り入れて、働く人も利用する人も安全なお店作りができるといいですね。
まずは自分の身を守ることから、みんなでナイトビジネス業界を守りましょう。